03. 効果・今後
運用管理負荷を劇的に軽減
全社的な業務標準化を果たし、データ活用文化の醸成へ
― 新システム稼働後、業務現場ではどのような変化を感じていますか。
山本氏: 旧システム運用時は、Excelで作るさまざまな様式の請求書がありましたが、全社標準の統一書式に一本化しました。さらにデータを一箇所に集約・蓄積される形にしたことで、各部門が情報の活用や実績の振り返りなどをしやすくなりました。また、社内帳票もダッシュボードを使って見える化したことで、ペーパーレス効果も高いと感じています。そして、新システムはあくまで全社標準であり、個別業務で必要なものは別のシステムを開発し、対応するように切り分けたことで、全体最適と個別最適の区分けも整理することができました。
沢田氏: また、SaaSツールでFAQをナレッジ化、ポータルサイトで公開し、問い合わせ業務の属人化防止として、脱電話化や脱個別管理化にも取り組んでいます。今後はここでシステム改修依頼やチケット管理も行う予定で、我々、IT企画室が本来の役割に集中できる環境の整備にも、引き続き取り組んでいます。
― PaaSを中心にクラウド構成を設計したことで、どのような運用面での効果を感じていますか。
沢田氏: これまでのような機器の保守業務からの開放が大きな効果だと感じています。オンプレ時代は一旦機械を止め、誰かが立ち会い再起動する必要があるため、現場利用の少ない夜間帯での対応が必要でしたが、新システムは朝からわずかな時間の停止だけ、それもWebを介してできるので、リリースやメンテナンスにかかる我々の対応工数が格段に違うと実感しています。また、当初想像していたクラウド費用より、かなり圧縮できています。本番、検収などシステム環境を複数作ったにも関わらずコンパクトに収まったのは、驚きでした。
BIPROGY岡村氏: この点も、リベルスカイの力量が非常に大きい。この期間なら費用をかけず試せるなど、うまい使い方が完璧でした。容量に関しても初期の見立てが良いため、運用を開始しても多過ぎず少なすぎず、安全圏内にしっかりと収まっています。安定稼働を監視する機構も入れていただき、システムの健全性が保たれていることも大きな成果です。
― 今回の基盤構築を踏まえ、今後どのようにデータ活用を発展させていきたいとお考えですか。
山本氏: 今回、「ここに行けば一通り使える情報・データが揃っている」という土台は整いました。しかし、本当の意味でデータを活用していく道筋は、まだ模索中です。すでに若手を中心にデータ活用人材の抜擢・教育も開始しており、一緒に考えていきたい。今後、生成AIとの融合なども対応していきたいと考えています。
― それでは最後に、リベルスカイへの今後の期待・ご要望をお聞かせください。
BIPROGY岡村氏: 今回のプロジェクトは、リベルスカイがいないとここまで来られなかったと思っています。スピード、技術、知識を業務適用型でご支援いただき、とても感謝しています。実構築で多くの他社事例をお持ちなので、引き続きベストプラクティスを教えて欲しい。そうした設計や構築はもちろん運用監視、他のシステムデータとの組み合わせ活用法など、引き続き当社の技術面を補完してくれることに、大きな期待を寄せています。
沢田氏: プロジェクト中、我々はBIPROGYとのやり取りがほとんどでしたが、今回の取材を通じて両社が強固な信頼関係で対応していただいていたことが分かりました。今後も社内でクラウド化が進んでいくことは間違いありません。引き続きサポート、ご指導に期待しています。
山本氏: 私たちはこの取り組みをきっかけに、全社的なデータ活用文化を根付かせ、次の成長を目指していきたいと考えています。Google Cloudは高い堅牢性や将来性があるにも関わらず、実績が他のプロバイダより少なく見えてしまうのが惜しい点です。リベルスカイには、ぜひともこのプラットフォームの素晴らしさを広く伝え、Google Cloudが日本においてよりメジャーな選択肢となるよう、その普及を後押ししていってほしいと期待を込めてお願いしたいです。
株式会社合通ロジ 様

Google Cloud PaaSで業務標準化と運用負荷軽減を実現
約30年ぶりの基幹システム全面刷新でデータ活用の基盤を築く
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30年以上利用する基幹システムが複雑化・肥大化。さらにハードウェアの保守期間切れという喫緊の課題に直面
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拠点ごとの個別最適化による属人化が進み、企業データが点在。将来の変革に活用できない
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IT部門がシステムの運用に追われ、企画業務に注力できない
01. 背景・課題
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データ活用とPaaS(Platform as a Service)による運用負荷軽減を目的にGoogle Cloudを採用
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BIPROGYが業務要件をリードし、リベルスカイがGoogle Cloudに強い技術パートナーとして参画。リベルスカイは知見を生かし、PaaS構成最適化やコスト効率向上などを実践
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ベンダー-事務局、事務局-現場という体制でクラウドシフト+業務標準化の初志を貫徹
02. 選定・導入
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夜間対応だったシステムリリース・メンテナンスがWeb経由で朝の短時間で完了する対応工数が格段に削減
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PaaSの最適設計により、当初想定より構築・運用コストを大幅に圧縮
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業務標準化が進み、社内帳票削減によるペーパーレス効果も高い
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運用から解放され、若手中心のデータ活用人材の育成など将来を見据えた環境を整備中
03. 効果・今後

合通ホールディングス株式会社
経営企画室 室長
山本 卓 氏


01. 背景・課題
30年以上利用した基幹システム刷新へ
業務の全体最適化とデータ活用企業への変革を目指す
― はじめに、合通ロジ様の事業をご紹介ください。
山本氏: 当社は大阪を発祥の地として1950年に鉄道貨物輸送事業で創業しました。現在は総合物流企業として、輸送・保管・流通加工や物流センター運営など、全国主要都市を結ぶネットワークを展開しています。お客様のサプライチェーン全体を見据え、倉庫運営・輸配送・在庫管理・情報システムを総合的に設計・運用し、効率化と品質向上の両立に取り組んでいます。
― 旧システムの役割および、今回刷新に至った背景、当時抱えていた課題をお聞かせください。
沢田氏:旧システムは実績の集計や請求書発行、会計システムとの連携を中心に、倉庫の在庫管理などの現場の業務までをカバーする、当社の基幹的な役割を担うシステムです。刷新を決断したきっかけは、ハードウェアの保守期限が迫ってきていたことですが、それ以上にシステムの維持と継続が限界を迎えていました。旧システムは、COBOL言語を採用しており、社内にはメンテナンスに対応できるメンバーが残っておらず、技術面でも維持が難しくなっていました。
山本氏: また、業務に寄り添う形で改修を繰り返してきたため、システム構造が複雑化、肥大化。そのシステムに合わせるために業務運用を構築した結果、属人化した業務プロセスを維持・運用する負荷も大きな課題でした。特定の拠点や顧客向けの特別な機能を段階的に追加し続けたため、今となってはブラックボックスも多い。システム改修当時は業務最適化を実現することができていても、歴史とともに前後の工程で本来不必要な作業が発生する要因になり、それに対処するためには特定の従業員でないと対応できないといった属人化業務が生じていたことが、業務効率化の足かせになっていました。
― 新システムの基本構想として、どのような姿を目指されたのかお聞かせください。
山本氏: 本プロジェクトを、硬直したシステムを柔軟かつ機動的に利用できる仕組みに変える絶好の機会と捉えました。都度追加されてきた仕組みや不要な機能を整理・統合することでシステム全体のスリム化を図り、IT投資費用や維持改善にかかる負担を軽減することを目指しました。また、再入力や調整入力などの人に依存する業務を最小化すると同時に、紙に依存した業務から脱却、デジタル化を進めることで、業務効率化と省力化を実現した、新たな業務プロセスを構築することを目指しました。
拠点や顧客ニーズに応じた個別オペレーションの進化は当社の強みでもありますが、全社の実績データが点在し、未来への変革に活用できる状態にないことも課題でした。新システムでは、全社の実績データを「コア実績」として一箇所にデータベース化する仕組みを構築し、業務の変革や脱炭素社会を見据えたCO₂排出量など環境指標の評価分析に生かせる基盤にしたいと考えました。

02. 選定・導入
運用から企画へのIT組織変革を視野に、
共創マネジメントでPaaS最適設計を推進
― 構想段階で、合通ロジ様とどのように全体設計の方針を共有・整理されたのでしょう。
BIPROGY岡村氏:30年以上利用されてきた基幹システムの刷新ですので、まずは、これからまた長くご利用いただけるように、現時点での最新の技術を使おうと考えました。そして、現場に寄り添うあまり複雑化・属人化してしまった業務プロセスを、改めて標準化する方針を定めました。システムの機能と業務プロセスを突き合わせながら、本当に必要な要素と不要な要素を分別し、共通業務と個別業務を明確に線引きしました。業務改革とシステム刷新を同時に進めるため、現場ヒアリングやワークショップ形式で合意形成を図りながら整理を進めました。
― 本プロジェクトを推進するうえで、リベルスカイをパートナーとして参画させた背景や、その狙いをお聞かせください。
BIPROGY岡村氏: 当社は合通ロジ様と長いお付き合いがあり、システムや業務内容を熟知していることから、まず私たちがプロジェクトに参画しました。その上で最新技術の採用としてクラウドへの移行を選択しました。Google Workspaceをご利用されている同社はGoogle Cloudの採用が最短ルートであると判断し、Google Cloudに高い知見を持つリベルスカイとの共創に踏み切りました。選定の決め手は、社長を含めた方々とお話をさせていただいた際、その志やマインドがとても良いと感じたからです。技術力はもちろんですが、人としての信頼を持って一緒に進めたいと思った次第です。
― リベルスカイが実施したワークショップの印象や影響があれば、お聞かせください。
BIPROGY岡村氏: リベルスカイには当社に対し、技術的な学びの機会となるワークショップを何度も実施していただきました。そこでデータ活用のダッシュボード機能なども教えていただき、PaaSの柔軟性や標準化に向けたシステム構成について深く相談しました。リベルスカイの支援により、Google Cloudの特徴を深く理解し、採用判断を確信することができました。事前に旧システムではデータが自由に扱えず、加工に手間がかかるという課題をお聞きしていましたので、Google Cloudのデータ活用サービスを採用し、同時にPaaS(Platform as a Service)を活用することで、運用をクラウドサービスに委ねる戦略が見えました。合通ロジIT企画室のメンバーの方々が、システムの運用だけではなく、企画業務に注力できる環境を整備できると考えました。
― プロジェクト全体の推進体制および、進行の大まかな時系列をお聞かせください。
BIPROGY岡村氏: プロジェクトは2022年7月にキックオフ、約半年ほど、当社とリベルスカイでGoogle Cloudの機能などの技術確認を行い、どのような仕組みにするかを決めました。そこからまずは「あるべき姿」を構築、3カ月ごとにシステムを合通ロジ様にご覧いただき、細かな仕様を調整する作業を約1年間繰り返しました。最後の1年では、実際に現場で活用していただきながら、さらに細かな機能要望を詰めていくという、アジャイル的な進め方でした。
― プロジェクトにおいて、工夫された点があればお聞かせください。
山本氏: ベンダーと現場メンバー(利用者)という構図を作らず、ベンダーと事務局、事務局と現場メンバーという体制でプロジェクトを推進し続けたことです。我々事務局は従来のシステムや現在の業務プロセスに捉われず、新システムに対して使いにくい点や、やりたいことができない点を自由に指摘しあえる体制であったこと。また、当社の中だけでは分からない市場のトレンドやノウハウをBIPROGYに意見を求め、実は我々の考えるベストだと判断していた選択肢が、世の中ではベターにすぎないことなどをフィードバックしてもらい、それをメンバー間で認識を刷り合わせたうえで、新システムに取り入れるなど、ときに大胆、ときに細かく調整していくことができました。
BIPROGY岡村氏: 開発側としても、お客様が旧システムを「正」としない発想でいてくださったのは非常によかった。「クラウドシフトかつ業務標準化が本来の目的」という初志を貫徹するため、各種ドキュメントには必ずプロジェクト方針を記載し、お互いの役員も同席する重要な会議の場でも毎回確認。全員が常に同じ方向を向き続けることを徹底しました。リベルスカイにはこの期間なら費用をかけずに試すことができるといった助言もいただき、コスト面でも効率よく進めることができました。

株式会社合通ロジ
IT企画室長
沢田 実則 氏
BIPROGY株式会社
インダストリーサービス第二本部
関西システム部 二室一課
岡村 義昭 氏
株式会社合通ロジ
本社所在地: 大阪府大阪市福島区鷺洲4丁目1番16号
設立: 1950年4月
資本金: 2億4,000万円
従業員数: 480名(2025年3月末)
事業内容: 通運事業(JR貨物輸送全般) · 貨物自動車運送事業 · 貨物利用運送事業 · 倉庫業 · 港湾運送業 · 荷造梱包業 · 不動産業 · 保険代理店業ほか


